忍者ブログ

exexe

「 As I thought 」

[PR]

2024.05.18 Saturday 13:14

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

As I thought

2008.11.21 Friday 01:02

JellyBerryのヒナ様のイラストに転げ回り、突発的に描いたものです。大学サッカーでベンチコート萌え。
一のチームメイトがやや出張っています。 ⇒シアワセナリスに続きます
一×悠里





「はぁっ・・・間に合った、かしら・・」


悠里は肩で息をしながら、乱れたスーツを直した。
休日だというのに仕事が終わらず、学校から直に向かってきたのだ。
方向感覚に疎いため、初めてくるこのグラウンドになかなか辿り着けず、
相当な時間をかけて、やっと着いた。

人が多い。
大学同士の練習試合とはいえ、相当な数のギャラリーに加え、
報道陣やビデオカメラを構える人が多く見受けられる。
彼らの目当ては、


「キャーッ草薙さん!!」

「今日はスタメンですかぁっっ!!」



やっぱり。



悠里は苦笑いした。一はもてる。
ビジュアルだけじゃなくて、サッカーも上手だし、何よりあの笑顔・・・
悠里は遠くにいるだろう、一の姿を探す。

選手たちはジャージの上に長いベンチコートを着て、集まっていた。
若々しく話している姿の中、少し髪の伸びた一を見つける。
なんとなく微笑ましく、悠里は口元が緩んだ。


「草薙選手~!!」

「こっち向いてくださ~いっ!」


熱いギャラリーの声に応えたのか、一はちらりを彼女らを見やり、笑う。
そして再び黄色い悲鳴がとぶ。


「・・・照れ笑いが、かっこいいし可愛いのよね・・」


最愛の恋人の表情を見て、悠里は一人惚気た。


軽い練習試合のため、試合時間は短めに設定されていた。
早くに前半戦が終わり、観客らは少し不満そうな様子を露わにする。


「ん~、結局あんまり見えなかったわ。でも、一くん出てないみたいだし」


悠里は後方で背伸びをし、グラウンドを見やる。
ベンチコートを着たまま足先でボールを遊ばせる一は、穏やかな顔で
そこにいた。



「おい、草薙」

「はい、なんすか?」

ふいに監督に声をかけられ、一は答える。

「後半、出るぞ」

「マジっすか!よっしゃ!」

本当は大学リーグまで隠しておきたかったが、観客多いしな、と監督はごちた。



嬉しそうに本格的にアップを始める一に、観客も気づく。

草薙選手、出るっぽくない?
どこかから聞こえた声に、悠里はまた背伸びをした。しかし見えない。

「う~ん、行くしかないわね!」

悠里は観客の合間を縫い、そっと前方に進んだ。


「草薙がうらやましいよまったく」

長めにとられた合間の時間、仲間が一に声をかける。

「お前見たさに女の子いっぱいじゃん」

「少しくらい分けてくれよ」

「なに言ってんだよお前ら」

ふざけて言う仲間を適度に流す。

「あの子とか可愛くない?」

ギャラリーを見て選手たちが品定めを始めた。

「無理無理。あの子、草薙の番号のうちわ持ってんじゃん」

「くっそー!じゃああっちのお姉さんもーらいっ」

「あーいいねいいね!」

気の抜けた会話で盛り上がる楽しそうな仲間に、

一は呆れたように笑って、声をかけた。

「んな事してて楽しいのかよ。・・・ってあ」

「可愛い子探しが楽しくないわけないじゃんか!」



なんで、いつの間に――



一の目が一瞬見開かれたのを、仲間は気付かない。

「なぁ。さっきお前らが言ってたお姉さん、ってどれ?」

「お、興味もったか草薙!でもお前に教えるととられちゃいそうだから・・・」

「いいから、どいつって聞いてんだよ」

妙な威圧感を放つ一に、仲間は茶化して答える。

「あの端っこ。ピンクのスーツのOLさん♪」



やっぱり。



一は苦笑いした。
最愛の恋人は人を惹きつける。

「なぁ。あの人、俺のだからダメ」

「えっ、草薙?」

一はボールを置き、コートサイドから歩きだした。


一がベンチを後にし、悠里は内心とても喜んだ。
こっそり見にきたのだから、是非とも出場してほしかったのだ。

「そろそろ後半かしら」

他の選手と話している一はとても楽しそうで、見ているだけで嬉しくなる。
その一はずんずんとグラウンド中央まで歩いてきた。まだ止まらない。

まっすぐ顔をあげた一に、近くの女性たちから悲鳴がとぶ。
そんな彼女らを気にもせず、一は一点を見つめて、一番優しい笑顔を見せた。



――ゆーり、俺のだからな



声を出さずに口だけ動かした。

「・・・え?」

自然と顔が赤くなるのがわかった。
周囲の女性の視線が痛い。

そのまま一は満足げに踵を返し、戻っていった。
仲間に向けて口角をつり上げて。

「うわぁ・・・あのお姉さん大変そう」

仲間の声は後半戦開始のホイッスルにかき消された。
PR
COMMENTS
TITLE

NAME

EMAIL

HOME
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 PASS
COMMENT
TRACKBACKS

URL

PREV  - MAIN -  NEXT

忍者ブログ

プロフィール

HN:
すぎひと
性別:
女性
職業:
専門学校生
趣味:
乙女ゲー・妄想
自己紹介:
exexe/えぐぜぐぜ
テキスト中心の個人ブログです

メール:akihito11m★yahoo.co.jp ★→@

リンクフリーです。ご報告頂けたなら、喜んでお邪魔します。

好き

アニマルマスター/聖帝の小悪魔/天地青龍/ハレルヤ/ジブリ/カピバラさん
NL中心にBLもいける雑食。

最新コメント

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

バーコード

ブログ内検索

カウンター

OTHERS

Powered by [PR]
Designed by TABLE ENOCH