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翼編--
「どこを見ている」
翼がジャケットを脱ぎすてるその一連の動作を直視できず、悠里は顔を背けていた。
「だって、その・・・」
「さては、この俺のBeautifulなBodyに目が暗んだか?」
「日本語の発音が違うわよ!正しくは眩んだ、でしょ!」
前に向き直ってしまったことを、悠里は後悔した。
「やっと、俺を見たな」
ベッドの縁に腰掛ける悠里の眼前に、端正な顔立ちが近づく。
高さのあるベッドの上で、思わず後ずさってしまったのがいけなかった。
足は宙に浮いた状態で、自ら背中からシーツに倒れこむ。
「ほう、随分気が早いじゃないか」
「ち、ちがうのよ、これはっ!!」
わざとらしく翼が笑う。
慌てて取り繕い体を起こそうとするが、やんわりと肩を押さえこまれ、制される。
「悠里自らがベッドに誘ってくれたご褒美だ。そのまま寝ていろ。
俺がじきじきに脱がしてやる」
にやりと細められた赤い瞳が光った。
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一編--
「ゆーりってば」
上半身に何も纏っていない恋人の声を、悠里は背中で受け止めた。
一はすでにシャツを脱ぎすて、ベッドの中央に座っている。
「何、恥ずかしいの?」
ハハッと笑い声が聞こえ、その表情までが想像できた。
恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかしいつまでもこのままではいかない。悠里はとりあえず振り向こうとした。
「よしっ、ってきゃあっ!!」
「きゃあって・・・俺は痴漢かよ・・」
不意に背後から抱きすくめられ、気づけばベッドの中央にいた。
文字通り腕の中、さらに力なく沈む悠里の足を超えるように一の足が伸びているため、脚の中でもある。
当の一はその体勢のまま、悠里の肩に顔をうずめる。
「恥ずかしいなら、前見てていいぜ。もう俺ん中なんだし」
耳元を吐息が擽る。
体全てを抱き込まれたまま、ゆっくりと衣服が乱れていった。
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